泣Vュタット王国では、この比率は、一六九〇年に、一対八八、一七五六年には、一対一一二であった。
 クレベス公国では、この比率は、一七〇五年に、一対八三、一七五五年には一対一〇〇であった。
 ブランデンブルグ選挙伯領では、この比率は、一七〇〇年に、一対七六、一七五五年には、一対一〇八であった1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。
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 1)[#「1)」は縦中横] Id. sect. lxxi. p. 140.
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 この種の事例はなお多く挙げることが出来よう。しかし以上をもって十分次のことを証示するに足るものである。すなわち、それ以前に生じた大きな死亡率により、または耕作や取引の改善により、生活資料が突然増加したために、大きな結婚比率を許す余地が作り出された国においては、新しい職業がいっぱいになってしまい、増加し行く人口をこれ以上包容する余地がなくなるにつれ、この比率は年々減少するであろう、ということこれである。
 しかし、久しく人口が充満しており、死亡率が引続き同一であり、また新しい生活源泉が何も開かれない国においては、結婚は主として死亡によって左右されるので、一般にいずれの時期においても総人口に対し同一の比率を採るであろう。そして、生活資料が年々増加する国においてすら、この増加が斉一であり永続的であるならば、これと同一の恒常性が生ずるであろう。半世紀の間、死亡によって解消される結婚以上に、毎年一定の結婚比率が許されるという状態であるとすれば、人口は増加しつつあるのであり、そしておそらくは急速に増加しつつあるのである。しかも結婚の総人口に対する比率がこの全期間を通じて依然同一であり得ることは、明かである。
 ジュウスミルヒは、この比率を、種々なる環境において確かめようと努めている。ブランデンブルグ選挙伯領の村では、年々、一〇九人につき一の比率で結婚が行われている1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。かくて彼は、農村の一般的比率は一〇八分の一ないし一一五分の一と思ってよかろうと考えている2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]。死亡率がこれより高い選挙伯領の小都市では、この比率は一対九八であり3)[#「3)」は縦中横、行右小書き]、上述のオランダの村では一対六四、ベルリンでは一対一一〇4)[#「4)」は縦中横、行右小書き]、パリでは一対一三七である5)[#「5)」は縦中横、行右小書き]。クロオメによれば、パリやロウマのような結婚の少い[#「結婚の少い」に傍点]都市では、この比率はわずかに一対六〇(訳註)に過ぎない。
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 1)[#「1)」は縦中横] Id. sect. lvi. p. 125.
 2)[#「2)」は縦中横] Id. sect. lxxv. p. 147.
 3)[#「3)」は縦中横] Id. sect. lx. p. 129.
 4)[#「4)」は縦中横] Ibid.
 5)[#「5)」は縦中横] Id. sect. lxix. p. 137.
 6)[#「6)」は縦中横] 〔Crome, u:ber die Gro:sse und Bevo:lkerung der Europa:ischen Staaten, p. 89.〕
〔訳註〕『一対六〇』とあるのは第六版のみであり、他の版ではすべて『一対一六〇』とある。第六版の数字はおそらく誤植であろう。
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 しかしながら、あらゆる種類の一般的比率は、すべて、極めて注意深く適用しなければならない。けだし食物と人口との増加が斉一であるということは滅多に起らぬことであり、またこの原因により、または慎慮や清潔に関する人民の習慣の変化により、一国の事情が変化しつつある時には、ある時期に真実な比率も他の時期には真実でなくなることは、明かであるからである。
 これらの問題について例外を許さぬ法則を樹立するほど困難なことはない。概言すれば、それ以前に生じた大きな死亡率によるか、または耕作や取引の改善によって、生計獲得手段の獲得が便宜になれば年結婚の比率は増大する、と考えてよいかもしれない。しかしこうした結果はおそらく起らぬかもしれぬ。人民が従前非常に悲惨な生活をしており、そして死亡率の多くは、かかる状態に通常伴生する先見の欠乏から生じたものとすれば、突如たるその境遇の改善は彼らにむしろ上品な相応な誇りを与えることになる、ということも可能である。そしてその結果として、結婚数の比率は依然ほとんど同一に止まろうが、しかし彼らはいずれも前より余計の子供を育て上げることになり、そして要求されている人口の増加は、出生数の増加ではなく、死亡率の減退によって供給されることになるであろう。
 同様にして、もしある国
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