フ数はおそらく脱漏の数によって相殺されるものと推定すれば、国外死亡を除外した出生の超過だけで、人口は、一八二一年の人口実測よりも一八四、四〇四だけ多くなり、また国外死亡を酌量してこれを加えると(それは、この場合、男子の出生の超過を男女の死亡に比較したところから見ると、一二八、六五一であることがわかる)、三一三、〇五五だけ多くなることがわかるであろう。
過去二囘の報告において、脱漏によって相殺されない二重記入がかかる数に上ると仮定すれば、これら人口実測は更に極めて驚くべき人口増加を示すであろう。一八〇一年ないし一八一一年の期間の増加率はほとんど一三パアセント(一二・八八)となり、これは約五七年にして人口を倍加するであろう。そして一八一一年ないし一八二一年の期間では増加率はほとんど全く一五パアセント(一四・九五)となり、これは人口を五〇年にして倍加するであろう。
吾々は現在のところ人口実測の誤りが不足にあるか過大にあるかがわからないのであるから、私は、本章の前の方で与えた一七八一年ないし一八一一年の修正人口表を改めた方がよいとは考えたことはない。それは、出生のみによる推算よりも遥かに安全な原理に基づいているのであるから、従ってそれはとにかく『緒論』において与えられているよりも正確な人口増加を示すものでなければならぬ。
実際人口報告を考察してみればみるほど、出生率は常にほとんど同一であろうという仮定に基づく過去の人口の推算が、すべていよいよ不確実であることがわかる。もし一八二一年以後の人口を、リックマン氏がその前年に行ったと同一の方法で見積るとすれば、一八二一年の人口は人口実測の示す如き一二、二一八、五〇〇ではなく、わずかに一一、六二五、三三四に過ぎないこととなり、換言すれば五九三、一六六すなわちほとんど六〇〇、〇〇〇だけ一八二一年の人口実測よりも少いことが、わかるであろう。そしてその理由は、リックマン氏の提唱する方法によりかつ脱漏を斟酌しないで推定したところの出生の人口に対する比率が、一八二一年にはわずかに一対三六・五八に過ぎず、一八〇一年には一対三四・八にも上ると、いう事実にあるのである。
人口実測が正確であると仮定すれば、出生率の変動は、(脱漏を斟酌せず、そして各期末の人口をそれに先立つ五箇年間の平均出生と比較すれば、)一八〇一年は一対三四・八、一八一一年は一対三五・三、一八二一年は一対三六・五八となるであろう。
結婚の人口に対する比率については、同様の、またはむしろより[#「より」に傍点]大なる変動が生ずるのが見られるであろう。
一八〇一年にはこの比率は一対一二二・二であり、一八一一年には一対一二六・六、一八二一年には一対一三一・一である。そしてもし、一八二〇年をもって終る二〇年間に、脱漏が極めて少いと思われる結婚が、人口に対して、一八〇一年と同一の比率を採っているものと仮定して、人口を結婚によって推定するならば、一八二一年の人口は、一二、二一八、五〇〇ではなく、わずかに一一、三七七、五四八となり、換言すれば一八二一年の人口実測よりも八四〇、九五二だけ少くなるであろう。
しからば、もし吾々がこの計算に幾らかでも信をおけるとすれば1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]、出生、死亡、または結婚の比率に基づく過去の人口の推算には少しも信をおきえない。吾々が人口実測をやってみた二〇年間にこれらの比率にかくも本質的な変動を惹起したと同一の原因は、その以前にも同じ程度に働いたことであろう。そして、一国の健康の増進が、啻に死亡率を低減せしめるのみならず、また出生及び結婚の比率をも低減せしめるものであることは、一般にその真なることがわかるであろう。
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1)[#「1)」は縦中横] 愛蘭《アイルランド》及び蘇格蘭《スコットランド》から英蘭《イングランド》への移住は、ある程度、人口実測の結果が死亡以上に出ずる出生の超過から得られる数字を超過することの、説明となるであろう。
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第十章 蘇格蘭《スコットランド》及び愛蘭《アイルランド》における人口に対する妨げについて
蘇格蘭《スコットランド》の統計報告を詳細に検討すれば、人口の原理の多数の例証が得られるであろう。しかし私は既に本書のこの部分を非常に長々と述べたので読者を倦ませる恐れがあると思う。従って私はここでは、たまたま私に深い印象を与えた若干の事実を述べるのに限定することとする。
たいていの蘇格蘭《スコットランド》の教区の出生、死亡、結婚の記録簿には周知の脱漏があるので、ほとんど正しい推論はそれからは得られない。その多くは異常な結果を与えている。カアカドブライトのクロスマイクル教区では、死亡率はわずかに九
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