れたのであった。しかもこの比率は、富みかつ人口稠密な国土としては全く異常なものである。それは一国の人口に毎年七九分の一を加え、そしてそれが継続するならば、本篇第十一章の第二表によれば、五十五年以下にして人口を倍加するであろう。
 これは事の性質上永続的たり得ない倍加率である。それは、農業と工業との両者における、労働に対する需要の偉大なる増加並びに生産力の偉大なる増加に刺戟されて、生じたものである。これらは、人口の急速な増加に対し最も効果的な奨励をなす要素である。ここに生じた事実は、人口原理の適切な例証であり、そして大都市や工業や人民の漸次に獲得する富裕な贅沢な習慣にもかかわらず、もし一国の資源が急速な増加を許すならば、またもしこれらの資源が労働に対する需要の逓増をもたらす如くに好都合に分配されるならば、人口は必ずやそれと歩調を合わせて進むべきことの、証拠なのである。

    一八二五年(訳註――本章の以下の部分は第六版のみに現わる。)

 一八一七年に本書の最終版を刊行して後、第三囘の人口調査が行われたが、その結果は著しく吾々の注意に価するものである。
 一八二一年の実測、及びリックマン氏の公表報告の緒論にある一八一一年及び一八〇一年の修正報告によれば、大ブリテンの人口は、一八〇一年には一〇、九四二、六四六であり、一八一一年には一二、五九六、八〇三であり、一八二一年には一四、三九一、六三一であった。
 最初に述べたようにして得られ、一八一一年に陸海軍に編入された多数の男子を含む、これらの数字は、一八〇〇年ないし一八一一年に一五パアセント、一八一〇年ないし一八二一年にはわずかに一四・四分の一パアセントを示している1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。しかし陸海軍及び商業に加えられた六四〇、〇〇〇の男子のうち、三分の一以上は愛蘭《アイルランド》人と外国人であったはずであると計算されている。従って、一八〇一年及び一八一一年の現在人口にわずかに三〇分の一を加え、また一八二一年は平和であったから不在男子としてわずかに五〇分の一を酌量すれば、これら三つの時期に英蘭《イングランド》及びウェイルズの人口は、第一囘の実測に想像される脱漏を度外視して、一八〇一年には九、一六八、〇〇〇、一八一一年には一〇、五〇二、五〇〇、一八二一年には一二、二一八、五〇〇となり、一八〇〇年ないし一八一一年の増加は一四・二分の一パアセント、一八一〇年ないし一八二一年には一六・三分の一パアセントの増加を示すこととなる。これら二つの増加率の中《うち》、前者は人口を五一年にして、後者は四六年にして倍加するであろう。しかしながら、正当には現在人口に属する、陸海軍及び商業に従事する者の比率については、常に若干の不確実性があるはずであるから、また男子人口は他の理由により女子人口も浮動しているものであるから、増加率を女子人口のみによって測定しようというもっともな提唱が行われている。大ブリテンにおける女子の数は、一八〇一年には五、四九二、三五四であり、一八一一年には六、二六二、七一六であり、一八二一年には七、二五三、七二八であって、第一の期間には一四・〇二パアセント、第二の期間には一五・八二パアセントの増加を示している2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]。
[#ここから2字下げ]
 1)[#「1)」は縦中横] Preliminary Observations, p. viii.
 2)[#「2)」は縦中横] Ibid.
[#ここで字下げ終わり]
 蘇格蘭《スコットランド》の増加をそれだけでとると、第一の期間には一三パアセント、第二の期間には一四・二分の一パアセントである。蘇格蘭《スコットランド》を除いた英蘭《イングランド》及びウェイルズの増加は、ことに第二の期間においては、女子のみから測定しても、総人口から測定しても、陸海軍その他のことを適当に斟酌すれば、ほとんど全く同一であり、これは、かかる斟酌が真に近いことの証拠である。同時に、もし一八〇〇年ないし一八二一年の期間の大部分は戦争であったために、男子人口が通常以上に多く死亡したとすれば、総人口の増加は女子の増加ほど大きな比率に上らなかったはずであり、もしかかる増加が見られるならば、それはおそらく過大の数の男子が陸海軍人として現在人口に加えられたのによるか、または蘇格蘭《スコットランド》及び愛蘭《アイルランド》からの流入によるものであろう、ということは、おそらく注意しなければならぬであろう。
 上記の数と増加率とは、リックマン氏が、『人口摘要』の『緒論』の中で与えているものであることは、前に述べたところである。しかし本章の前の方で、私は、第一囘の実測は一八一一年のものほど正確ではないということの、私には十分な根拠と思われると
前へ 次へ
全109ページ中65ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
吉田 秀夫 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング