得よう。もしほかに人口減退の原因がなく、またもし予防的妨げが非常に強くは働かないとすれば、あらゆる国は疑いもなく週期的な疫病《ペスト》と飢饉とに襲われることであろう。
 あらゆる国の人口真実の永久的の増加の本当の基準は、生活資料の増加である。しかしこの基準ですらある軽微な変動を免れないが、しかしながらこの変動は、完全に吾々の観察し得るところである。ある国では人口増加が強制されているように見える。換言すればその人民は漸次にほとんど最小可能量の食物で生活するように慣らされてきている。かかる国では、人口が生活資料の増加なくして永続的に増加した時期があったに違いない。支那やインド及びベドウィン・アラビア人の占拠する国は、本書の前の方で述べた如くに、この部類に属するように思われる。これら諸国の平均生産物はわずかに住民の生命を辛うじて支えるに足るに過ぎぬように思われ、従って不作により少しでも食料不足が起れば、それはもちろん致命的でなければならない。かかる状態にある国民は必然的に飢饉の襲来を蒙らなければならない。
 労働の報酬が現在極めて潤沢なアメリカでは、不作の年には甚だしい節約を行っても、それほど困ることはない。従って飢饉はほとんど不可能のように思われる。が、アメリカの人口が増加するにつれ、労働者の報酬は早晩その潤沢さを大いに減ずるものと、予期し得よう。この場合には、人口は、それに比例する生活資料の増加なくして、永続的に増加するであろう。
 ヨオロッパ各国には、それぞれの国に行われる生活の習慣の相違から生ずる、住民数と食物消費量との比率の若干の変化があるに違いない。英蘭《イングランド》南部の労働者は精白小麦粉のパンを食う習慣があるので、彼らは半ば餓死するほどの地位に陥らぬ限り、蘇格蘭《スコットランド》の農民の如き生活には甘んじないであろう。
 彼等もおそらく早晩、必然という厳酷な法則の不断の作用により、支那の下層民のような生活に没落するかもしれず、その時は、この国は同一量の食物をもってより[#「より」に傍点]大なる人口を養うことであろう。しかしこれを実現するのは常に困難な企てでなければならず、そしていやしくも人道の友たるものはこれが不成功に終らんことを希望するであろう(訳註)。
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〔訳註〕ここまでの六パラグラフは大体において第一版を基礎とするものであるが
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