れの報告に現われている他の事実からして、私は、スイスはこの期間には、前章で想像した場合に該当するのであり、従って慎慮や清潔等に関する人民の習慣の改善がこの国の一般的健康性を徐々として増大するに至ったのであり、また彼らをしてその子供のより[#「より」に傍点]多くを成人に達するまで養育し得せしめることにより、より[#「より」に傍点]少数の出生をもって必要な人口を供給するに至ったのである、と信ぜざるを得ないのである。云うまでもなく、年出生の総人口に対する比率は、おそい時期の方が昔よりも低かったであろう。
 ミウレ氏の正確な計算から見ると、最終期中には死亡率は異常に低く、かつ嬰児期から青春期まで育つ子供の比率は異常に高かったことが、わかる1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。前二期においてはこれは決して同一程度ではあり得なかったであろう。ミウレ氏自身、『この国の昔の人口減退は、往時しばしば人口を荒廃せしめた頻々たる疫病《ペスト》に帰せらるべきである』と云い、更に『かかる恐るべき災厄が頻々と起っているのになおそれが存続し得たとすれば、それは気候が良く、またこの国がその人口を即刻恢復するために供し得るある資源のあったことの、証拠である』と附言している2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]。彼は当然この観察を適用すべきであるのに、これを怠り、そしてかかる即刻の人口恢復は異常の出生増加なくしては起り得ないということを忘れ、かつ、かかる破壊源泉に対して国が自己を維持することが出来るのを可能ならしめるためには、出生の総人口に対する比率が他の時代よりも大であることを要するのを、忘れているのである。
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 1)[#「1)」は縦中横] Id. table xiii. p. 120.
 2)[#「2)」は縦中横] Id. table xiii. p. 22.
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 彼はその表の一つで一三一二年以来スイスで流行した疫病《ペスト》全部の表を示しているが、それによれば、第一期の全部を通じてこの恐るべき天刑は短い間隙をおいてこの国を荒廃し、そして第二期の終末に至る二二年以内にまでその時折りの暴威を振ったのである1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。
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 1)[#「1)」は縦中横] Id. table iv. p. 22.
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