刀Eヴァンクウヴァがその間にここを訪問した際注意を引いている1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。そして伝道師によれば、女の割合が小さいとあるから2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]、女児が前より数多く殺されたものと推論し得よう。この女の少いことは当然に乱交の悪弊を増加し、そしてヨオロッパの疾病と相俟って、人口に根本的な打撃を加えることであろう3)[#「3)」は縦中横、行右小書き]。
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1)[#「1)」は縦中横] Vancouver's Voy. vol. i. b. i. c. 7. p. 137.
2)[#「2)」は縦中横] Missionary Voyage, p. 192 and 385.
3)[#「3)」は縦中横] Id. Appen. p. 347.
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おそらくキャプテン・クックはその計算の基礎たる資料によって、オウタハイトの人口を過大に見積り、またたぶん伝道師達はそれを過度に低く見積ったのかもしれない1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。しかし私は、相異る時代の、人民の経済に関する習慣についての相異る記述からして、キャプテン・クックの訪問以来、人口が著しく減少したことを疑わない。キャプテン・クック及びアンダスン氏は、彼らがあらゆる種類の食物に対して非常に注意深いことを一致して述べている。そしてアンダスン氏は、明かにこの点に関する非常に綿密な調査の後、飢饉が頻々と囘起することを述べている。伝道師達は反対に、フレンドリ諸島及びマアクイサス諸島におけるこの原因による困窮は力説しているけれども、オウタハイトの生産物は最も豊富であると云い、そして祝宴やエアリイオイ社によって恐ろしい浪費が行われるにもかかわらず、欠乏は滅多にない、と云っている2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]。
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1)[#「1)」は縦中横] Missionary Voyage, ch. xiii. p. 212.
2)[#「2)」は縦中横] Id. p. 195. Appen. p. 385.
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これらの記述によれば、オウタハイト島の人口は現在、平均的生活資料よりも著しく下に圧迫されていることがわかるが、しかし将来久しくこれが続くであろうと結論するのは早計である。キャプテン・クックがたびたびここを訪問した際に認めたこの島の状態の変動は、その繁栄と人口とにおいて顕著な擺動があることを証明するように思われる1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。そしてこれは吾々が理論上まさに想定すべきことなのである。吾々は、これらの島のいずれかの人口が過去久しく一定の数に停止していたとか、またはいかに徐々たるものであろうと何らかの比率で規則的に増加し得たとは、想像することが出来ない。大きな変動が必ずあったに相違ない。人口過剰は常に蒙昧人の生来の戦争癖を増大するであろう。そしてこの種の侵害によって惹き起された敵意は、それを促した本来の故障が消滅して後も、久しきに亙って引続き荒廃の手を拡げるであろう2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]。以前には非常な節約をして生活し、そして食物の限界を緊密に圧迫していた、密集人口が、一度か二度不作により困窮に陥る時には、かかる社会状態においては、殺児や乱交3)[#「3)」は縦中横、行右小書き]がいっそう甚しく広がることであろう。そしてこれらの人口減少の原因は、同様に、これらを悪化させた事情が終了してから後もしばらくは加速度で働き続けるであろう。事情の変化によって徐々として生み出されるある程度の習慣の変化は、まもなく人口を旧に復せしめ、そしてこの人口は、最も甚しい暴威なくしては、久しくその自然的水準に保たれ得ないであろう。ヨオロッパ人との接触がオウタハイトにおいて、どれだけこの最も甚しい暴威をもって働き、そしてそれが以前の人口に囘復するのを妨げたかは、経験のみがこれを決定し得ることである。しかしこれが事実であるとすれば、私は、その原因を辿ってみれば、それが罪悪及び窮乏の加重であることを見出すのを、疑わないのである。
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1)[#「1)」は縦中横] Cook's Second Voy. vol. i. p. 182, and seq. and 346.
2)[#「2)」は縦中横] Missionary Voy. p. 225.
3)[#「3)」は縦中横] 私は、これらの過剰人口の予防的原因について誤解をうけて、ただその結果を述べたからといってそれを少しでも是認したものと、考えてもらいたくない。ある特定の害悪を防止すべき原因でも、その害悪そのものよりも比較にならぬほど悪いものもあり得よう。
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