ヘ縦中横、行右小書き]。こうして逃げる場合には自分を守る者は自分だけである。子供はその親を離れ、親はその子供達を他人と考える。人情の絆はもはや働かない。父親は一つのナイフや一つの斧でその息子を売る5)[#「5)」は縦中横、行右小書き]。あらゆる種類の飢饉と窮乏とが、剣を免れた人間を完全に滅ぼしてしまう。かくして全種族がしばしば絶滅されてしまうのである6)[#「6)」は縦中横、行右小書き]。
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 1)[#「1)」は縦中横] Charlevoix, Hist. de la Nouv. France, tom. iii. 202, 203, 429.
 2)[#「2)」は縦中横] Robertson, b. iv. p. 147.
 3)[#「3)」は縦中横] Id. b. iv. p. 147. Lettres Edif. tom. viii. p. 40, 86, and passim. Cook's Third Voy. vol. ii. p. 324. Meares's Voy. ch. xxiv. p. 267.
 4)[#「4)」は縦中横] Id. b. iv. p. 172. Charlevoix, Nouv. France, tom. iii. p. 203.
 5)[#「5)」は縦中横] Lettres Edif. tom. viii. p. 346.
 6)[#「6)」は縦中横] Robertson, b. iv. p. 172. Account of North America, by Major Rogers, p. 250.
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 かかる事態は、一般に蒙昧人に、またなかんずくアメリカ土人に見られる、かの獰猛な戦闘精神を醸成するに有力に寄与したものである。彼らの戦闘目的は征服ではなくして殺すことである1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。戦勝者の生命は敵の死に依存する。そして敵が恨みと復讐心をもって追いかけているので、彼は絶えず打負かされた場合の窮状のことばかり考えているようである。イロクォイ族の間では、敵に戦をしかける決意を示す言葉は、『行こう、そしてあの民族を食おう』というのである。もし彼らが近隣の種族の援助を仰ぐ場合には、その敵の肉で作った汁を食うように招待する2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]
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