み出し、そしてまず棍棒か木刀で女の頭や背中や肩を血だらけにするまでなぐりつけて気を失うや、それを片手で引ずって、途中の石ころや木片などにかまわず森の中をひきずり、ただその獲物を無事に自分の仲間の所まで運ぼうと急ぐのである。このような取扱いを受けた女は彼れの妻となり、彼れの種族の一員となるのであるが、この男をすてて他の男のところへ行くことは滅多にない。こんなひどい目にあっても女の親族は憤慨せず、ただ出来るときには今度は自分も同じことをして復讐するだけのことである1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。
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 1)[#「1)」は縦中横] Id. Appen. p. 559.
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 両性の結合は早期に行われる。そして非常に若い少女が男によりひどい恥しい凌辱を受けているのは我国の移住民がよく見るところである1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。
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 1)[#「1)」は縦中横] Id. Appen. p. 563.
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 その一人または二人以上の妻に対する夫の処置は、この奇怪野蛮な求婚様式と性質が似ているようである。女性はその頭に男の優越の痕を止めており、これは、男がその腕に打つ力を見出すや否や直ちにそれを発揮してこしらえたものである。かかる不幸な女のあるものは、その刈り込まれた頭の至る所に数え得ないほどの傷痕をもっている。コリンズ氏は感傷的に曰く、『これらの女の境遇はあまり悲惨なので、私は母の肩におぶさっている女の子を見ると、その子の将来の悲惨なことを予見して、それを殺してしまった方が慈悲であろうとしばしば考えた1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。』他の場所では彼は分娩中のベニロングの妻のことについて曰く、『私は今この記録の中に、ベニロングがあることに腹を立てて、分娩直前の朝この女を激しくなぐったという覚書を見出した2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]。』
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 1)[#「1)」は縦中横] Id. Appen. p. 583.
 2)[#「2)」は縦中横] Id. Appen. note, p. 562.
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 このように獣的に取扱われる女は、必然的にしばしば流産せざるを得ず、またおそらく、前に述べたような、非常に若い少女の凌辱が普通に行わ
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