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1)[#「1)」は縦中横] Collins's Account of New South Wales, Appendix, p. 549. 4to.
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森林は、そこで時に見出される動物を別とすればほとんど食物を与えない。少しばかりの漿果《しょうか》、やまいも、羊歯《しだ》の根、種々な灌木の花が、植物性食物の目録の全部をなすものである1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。
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1)[#「1)」は縦中横] Id. Appen. p. 557. 4to.
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子供づれの一人の土人がホオクスベリ河の岸で、我国の移民にびっくりして、独木舟で逃げ去ったが、その後に彼れの食物と彼れの胃の腑の繊細加減を示す見本を残して行った。彼は、穴だらけの水に濡れた木の一片から、大きな虫をほじり出して食っていたのである。虫とその居場所とのにおいはこの上もなく臭気のはなはだしいものであった。かかる虫はこの土地の言葉ではカアブロオと呼ばれている。そして奥地に住む土人の一種族は、この胸の悪くなる虫を食うところから、カアブロガアルと呼ばれている。森林の土人もまた、羊歯の根と大小の蟻をまぜて作ったねり物を食っており、また産卵期には蟻の卵も加えている1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。
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1)[#「1)」は縦中横] Id. Appen. p. 558.
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食物としてこんなものに頼らざるを得ず、動植物の食物の供給がかくも乏しく、それを得るための労働がかくも苦しい土地では、人口が地域に比較して非常に稀薄に散在していなければならぬことは明かである。その最大限は非常に狭くなければならぬ。しかし吾々は、これらの人民の奇妙な野蛮な風習、彼らの女子に対する残酷な取扱、及び子供を養う困難を注意して見ると、その人口がこの限界を突破することがもっとしばしば起らぬことに不審を抱くよりは、むしろかかる貧弱な資源ですらかかる境遇の下に成長し得るすべての人口を養って余りあるものとさえ、考えたくなるのである。
この国における恋愛の序曲は暴力、しかも極めて残虐な暴力である。野蛮人は、思う妻を異る種族から、一般に彼れの種族と敵対している種族から選ぶ。彼は、その保護者のいない間に女を盗
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