きな部分によって、何らかの形の窮乏または窮乏の恐怖として、痛烈に感ぜられなければならない(訳註)。
[#ここから2字下げ]
〔訳註〕このパラグラフの後半は 1st ed., p. 14. の各所からの書き集めである。
[#ここで字下げ終わり]
 人口が生活資料以上に増加せんとするこの不断の傾向を有つこと、及びそれがこれら諸原因によってその自然的水準に抑止されていることは、人類が経過した種々なる社会状態を概観すれば十分わかるであろう。しかし、この概観へと進むに先立って、もしそれが完全に自由に働くがままに委ねられていたら人工の自然的増加はどんなものであろうか、また人類勤労の最適事情の下における土地の生産物の増加率はどのくらいが期待出来るかを、確かめようとする方が、おそらくこの問題をはっきり理解するに都合よいであろう(訳註)。
[#ここから2字下げ]
〔訳註〕第二版にはこれに続いて次の一文がある。
『これら二つの増加率を比較すれば、吾々は、上述せる生活資料以上に増加せんとする人口の傾向の力を判断し得るであろう。』
[#ここで字下げ終わり]
 行状は極めて純潔簡素であり、生活資料は極めて豊富であり、ために、一家を養う困難から生ずる早婚に対する妨げが何も存在したことはなく、また悪習や都市や不健康な職業や過労によって人類の種の浪費が生じたこともない国は、今まで知られていないことが、認められるであろう。従って、吾々の知るいかなる状態においても、人口の力が完全に自由に働くがままに委ねられたことはないのである。
 結婚に関する法律が制定されていようが、いまいが、自然と道徳との教えるところは、年早く一人の婦人に愛着することであるように思われる。そしてかかる愛着の結果たるべき結婚に対し、いかなる種類の妨害もなく、そしてその後に至って人口減退の原因もないならば、人類の増加は明かに、今まで知られているいかなる増加よりも遥かにより[#「より」に傍点]大であろう(訳註)。
[#ここから2字下げ]
〔訳註〕以上の二つのパラグラフは 1st ed., pp. 18−19. に、これとほぼ一致する記述がある。
[#ここで字下げ終わり]
 生活資料はヨオロッパの近代諸国のいずれよりもより[#「より」に傍点]十分であり、人民の行状はより[#「より」に傍点]純潔であり、そして早婚に対する妨げはより[#「より
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