ォは、各国に特有な各種の事情、なかんずく晩婚の数によって影響を受けやすいものである。あらゆる国において、再婚及び三婚はそれだけ極めて重大な意義を有するものであり、そして平均比率に本質的な影響を与えるものである。ジュウスミルヒによれば、全ポメラニアで、一七四八年と一七五六年とを含めてその期間に、結婚したものの数は五六、九五六であり、そのうち一〇、五八六は鰥夫寡婦であった1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。ブッシングによれば、プロシア及びシレジアで、一七八一年に結婚者二九、三〇八の中《うち》、四、八四一は鰥夫寡婦であったのであり2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]、従って結婚の比率はたっぷり六分の一だけ過大になることになろう。既婚婦人の出産性を測定するに当っては、私生児の数は3)[#「3)」は縦中横、行右小書き]、たとえその程度は軽微であるにせよ、結婚の超過を相殺する傾向があるであろう。そして再婚する鰥夫の数は寡婦の数より多いことが分っているのであるから、右の修正の全体はこの理由によりそのまま適用することは出来ないが、しかし、吾々がこれから試みるところの、結婚と出生または死亡の比較によって結婚まで生存する産児の比率の測定を行うに当っては、この修正の全体が常に必要なのである(訳註)。
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 1)[#「1)」は縦中横] 〔Go:ttliche Ordnung, vol. i. tables, p. 98.〕
 2)[#「2)」は縦中横] Sussmilch, vol. iii. tables, p. 95.
 3)[#「3)」は縦中横] フランスでは、革命前には、私生児の比率は全数の四七分の一であった。我国ではおそらくこれより低いであろう。
〔訳註〕第三―五版では、この次になお若干のパラグラフがあったが、それは第六版で削除された。それは次の如くである、――
『結婚まで生存する産児の比率を見出すためには、吾々はまず結婚から六分の一を控除し、次いでかくの如くして修正を加えた任意の年の結婚を、平均結婚年齢と平均死亡年齢の差に等しい間隔を置いている記録簿の死亡と、比較しなければならない。
『かくて例えば、もし結婚の死亡に対する比率が一対三であるならば、結婚から六分の一を控除すればこの比率は五対一八となり、そして年々結婚する初婚者の数は年死亡数に対して一〇対一八となるであろう。この場合、中位死亡年齢を中位結婚年齢より十年おそいと仮定し、この十年間に死亡が九分の一増加するとすれば、年々死亡年齢の差だけの間隔を置いた年死亡数と比較すれば、一〇対二〇となり、この事実から、産児の半数が結婚まで生存するということになろう。
『この法則の根拠は、記録簿一般に関する次の観察によって、明かとなるであろう。
『人口が停止的な国においては、同時的死亡は出生と比較すれば同数であり、云うまでもなく全産児中の死亡を表わすであろう。そして結婚は、またはもっと適切に云って、出生と死亡との両者と比較した結婚者の数は、再婚及び三婚につき適当な斟酌をすれば、結婚まで生存する産児の正しい比率を表わすであろう。しかしもし人口が増加か減少をしつつあり、また出生、死亡、結婚が同一率で増加か減少をしつつあるならば、出生と比較した死亡と、出生及び死亡に比較した結婚は、記録簿において時を同うする出来事が自然の順列においても時を同うするのでない限り、以前に表わしたものをもはや表わさないであろう。
『第一に、死亡は出生と同時的であり得ず、平均して常に平均寿命または中位死亡年齢と等しいだけの間隔を置いていなければならぬことは、明かである。従って、全出生中の死亡は、移民がない場合には、記録簿の中に存在するにもかかわらず、または存在するであろうにもかかわらず、しかも、人口が停止的な場合を除いては、出生及び死亡の同時期は決してこれを示さず、そして吾々はわずかに、もし死亡を、記録簿の出生から平均寿命に等しいだけの間隔をおいて、とるならば、死亡が出生に等しいことを見出すのを、期待し得るに過ぎない。そして実際上、出生及び死亡は、このようなとり方をすれば、常に同数であることが見出されるであろう。』
[#ここで字下げ終わり]
 第二に、ある年の結婚はその結婚を行うものの出生とは決して時を同うすることは出来ず、常に平均結婚年齢に等しいだけの間隔を置いていなければならぬことは、明かである。もし人口が増加しつつあるならば、今年の結婚は、今年の出生よりも少数の出生により行われるものであり、そして云うまでもなく、時を同うする出生と比較しての結婚は、常に、産児の中《うち》結婚まで生存するものの比率を表わすには、少な過ぎるであろう。そしてもし人口が減少しつつあるならば、この反対のことが生ずるであろう。従
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