サの一つとして、彼は、フロリダの蒙昧人の間でほとんど九年も住んだスペインの探検家の一人、アルヴァル・ヌウニェス・カベサ・デ・ヴァカの書いている記述を述べている。彼は、この蒙昧人は、あらゆる種類の農業を知らず、主として各種の植物の根を食べて生きているが、これを得るのは非常に困難であり、それをたずねてあちらこちらとさまよう、と云っている。時には彼らは鳥獣を殺し、時には魚を取るが、その量は極めて少く、従って彼らは、飢餓の余り、蜘蛛、蟻の卵、芋虫、とかげ、蛇、及び一種の滑土を喰うの止むなきに至る。そこで――と彼は云う――この国に石があったなら、彼らはこれを呑んだことだろうと思う、と。彼らは魚や蛇の骨を貯えておき、これを粉にして食べる。彼らがそれほど飢餓に悩まないのは、オプンチアすなわちさぼてんの実が熟する季節だけである。しかし彼らはこれを探すためには、時にその通常の居住地から遠くまで旅行しなければならない。他の場所で、彼は、土人はしばしば食物なしに二、三日を過さざるを得ない窮状にある、と述べている1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。
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1)[#「1)」は縦中横] R
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