ラき変化の、大時代に、触れているのであるとの意見を、懐《いだ》かしめるに至っている。
『云う所によれば今や大問題が発せられているのである、曰く、人間は今後加速度的に、在来考え及ばなかった無限の改善に向って出発し進み行くであろうか、または幸福と窮乏との間の永久的|擺動《はいどう》に運命づけられ、あらゆる努力を払ってなお所期の目標から測り知れぬ遠きになお止るであろうか、と。
『しかし人類を愛する物が誰もこの面倒な不安の解決をいかに熱心に期待しなければならなくとも、また研究心に富む者がその将来如何を教うべき光明をどんなものであろうといかに切に歓迎しようとも、この重大なる問題を論ずる両方面の論者がなお互いに隔絶していて手を握らないのは、惜しみても余りあるところである。彼等の相互の議論は公平な検討を受けていない。問題はより[#「より」に傍点]少数の点に集中還元されておらず、理論上ですら決定に近づいているとは思われない。
『現存事態を擁護する者は、一派の思弁的哲学者を遇するに狡猾な陰謀家をもってし、彼等は慈善を褒めそやして魅惑的なもっと幸福な社会状態を劃《えが》き上げ現存制度を破壊し自分達の野心の
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