増加せんとする人類の不断の傾向を例証するであろう。かかる性質をもつある一般法則がなければ、世界に決して人間が住むようにはならなかったように思われるであろう。いそがしい活動の状態ではなく、懶惰《らんだ》の状態が、明かに人間の自然的状態であるように思われる。そしてこのいそがしい活動の志向は、必要という強力な刺戟がなければ生じ得なかったであろう。もっともそれは後になって、習慣や、それから作られる新しい連合や、進取の精神や、軍事的栄誉欲によって、持続されたということもあろうけれども。
 話によれば、アブラハムとロトとは家畜を非常に豊富に有っていたので、土地は二人を倶《とも》に居らしめることは出来なかった。そこで彼らの牧者の間に争いが生じた。そしてアブラハムはロトに分離を提議し、そして云った、『地は皆|爾《なんじ》の前にあるにあらずや。爾もし左にゆかば我右にゆかん。また爾もし右にゆかば我左にゆかん1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。』と。
[#ここから2字下げ]
 1)[#「1)」は縦中横] 創世紀第十三章
[#ここで字下げ終わり]
 この単純な言葉と提議とは、人間を全地球に散布し、時が進む
前へ 次へ
全389ページ中151ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
マルサス トマス・ロバート の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング