と私には思われる。彼らの考えるところによれば、ある他の種族から被害を受けたことはないと考える種族はほとんどないのであり、ために彼らは絶えず復讐をしようと見張っている。そしておそらく、人肉の御馳走にあずかりたいという欲望も、少なからぬ刺戟となっていることであろう。……彼らがその恐るべき計画を遂行する方法は、夜中ひそかに敵を襲うことである。そしてもし敵が警戒を怠っているのを見ると(しかしこれは滅多にないことと信ずるが)、彼らはあらゆるものを無差別に殺し、女や子供でも見逃さない。殺戮が終ると、彼らはその場で祝宴を催してたらふく食うか、または死骸を出来るだけ数多く運び去り、家でそれを言葉で現わせぬほど残忍な仕方で食う。……助命したり捕虜にするということは軍律にはなく、従って敗北者は逃げる以外に助かる方法はない。この不断の戦争状態と破壊的戦闘方法とは、習慣的な警戒を生ぜしめる極めて有力な作用をするのであり、従って、昼といわず夜といわず、ニュウ・ジイランド土人が警戒を解いているのを見ることはほとんどないのである5)[#「5)」は縦中横、行右小書き]。』
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 1)[#「1)」は
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