人性の歴史において遭遇する最も暗い影を蔵している。これら人民の各種族が互いに絶えず闘っている闘争は、アメリカのいかなる地方の蒙昧人の場合よりもいっそう顕著である2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]。そして食人という彼らの習慣、及び彼らがこの種の食物を愛しさえしていることは、疑問の余地なきほどにはっきりしている3)[#「3)」は縦中横、行右小書き]。キャプテン・クックは、蒙昧生活の罪悪を誇張する傾向は少しもないのであるが、それでさえ、クウィーン・シャアロット・サウンドの近隣の土人について、次の如く曰う、
『もし私が、吾々のすべての自称友人の忠言に耳を傾けていたならば、私は全種族を絶滅させたことであろう。けだし各村々の土人は、代る代る私に他の村を滅ぼすことを頼んだからである。このあわれな人民がこれほど分裂生活をしている実証を聞いても、人はこれをほとんどありえないことと思うであろう4)[#「4)」は縦中横、行右小書き]。』また同じ章の先の方で曰く、『私自身の観察と、タウェイハルウアの話からすれば、ニュウ・ジイランドの土人は互いに殺されはしないかという絶えざる不安の中に生きているに違いない、
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