. p. 206, 380.
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 アメリカ西北岸地方への最近の航海記は、蒙昧生活における頻々たる欠乏の圧迫に関するかかる記述を確証し、そして一般に自然のままで与えられる食物収獲として最も豊富な漁撈も、不確実な資源でしかないことを、示している。ヌウトカ・サウンド近海は、住民が漁業の出来ないほどに凍ることはほとんどまたは全くない。しかし、彼らが極めて用心深く冬の用意に魚を貯え、そして注意深く寒い季節の用意に、出来るものならいかなる食物でも調理し貯蔵する事実から見ると、かかる時期には海で魚が取れないことは明かである。そして彼らはしばしば、寒い季節には、食糧の不足から非常な困難を蒙るように思われる1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。マッケイ氏という人が、一七八六年から一七八七年に至る間ヌウトカ・サウンドに滞在していた間に、冬の寒さが長く続き厳しかったので、飢饉が発生した。乾魚の貯えはなくなってしまい、そして新しい魚はどんなものも取れなかった。従って土人は一定の配給で我慢しなければならなくなり、そして酋長は我国人に毎日、規定の食糧、乾鰊の頭七個を持って来た。ミイアズ氏
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