c中横] Dissertation, p. 89.
2)[#「2)」は縦中横] Hume, Essay xi. p. 433.
3)[#「3)」は縦中横] Id. p. 433.
4)[#「4)」は縦中横] Appendix to Dissertation, p. 182.
5)[#「5)」は縦中横] Hume, Essay xi. p. 430.
[#ここで字下げ終わり]
しかしながら、奴隷制が行われる国においてそれが種の増殖に不利であるという事実は、かかる国の絶対的人口に関する問題、または古代と現代の諸国民の人口の多少に関するもっと大きな問題に対し、決定的な解答を与えるものではない。吾々は、ある国が、その人口を全然減少することなしに、多くの不断の奴隷の供給をなし得たことを、知っている。そして、もしかかる供給が、これを受け容れる国における労働の需要に正確に比例して行われたのであるならば――たぶんそうであろうが――この国の人口の多少に関する問題は、まさに、現代の国家におけると同一の基礎におかれることとなり、すなわちそれが雇傭しかつ養い得る人数に依存することとなるであろう。従って、家庭奴隷制が行われていようといまいと、輸出入をその中に包含するに足るほどの面積をとり、かつ奢侈や倹約の習慣の程度に若干の相違を認めた上で、これら諸国の人口は、常に、土地が生産せしめられる食物に比例するであろうということは、議論の余地なき主張として打ち樹《た》て得よう。そして、いかなる物理的または道徳的の原因も、それが過度にかつ異常に作用しない限り1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]、それが生活資料の生産及び分配に影響を及ぼす範囲を除けば、人口に対し何ら著しいかつ永続的な影響を及ぼさないであろう。
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1)[#「1)」は縦中横] バタヴィアの極度の不衛生、及びおそらく若干諸国の疫病は、過度に作用する物理的原因と考え得よう。罪悪的独身生活に対するロウマ人の過度かつ異常の愛着、及びオウタハイトにおける乱交は、同一性質をもつ道徳的原因と考え得よう。かかる事例、及びなおおそらく見出さるべき同一種類の他の事例が、一般的命題を本文にあるように条件づきにすることを必要ならしめるのである。
[#ここで字下げ終わり]
古代と現代の諸国民の人口の多少に関する論争においては、この点は十分に留意されて来ていない。そして、双方の側において物理的及び道徳的の諸原因が提出されたけれども、それからはいずれの側に有利な正しい推論も引出し得なかった。その現実の状態において一国が生産力と人口が大であればあるほど、それが生産物をそれ以上増加する力はおそらく小であり、従って、人口を、この静止的な、または緩慢に増加する、生産物の水準に、抑止するためには、それだけ余計の妨げが必然的に働かされねばならぬということは、双方の側の著者の注意を惹かなかったように思われる。従って、古代または現代の諸国民においてかかる妨げを発見してみたところで、これらのいずれかにおける絶対的な人口の多いことを否定すべき何らの推論もそれからは引出し得ないのである。この故に、古代人には知られなかった天然痘やその他の疾病の流行は、現代国民の人口の多いことを否定する論証と考えることは決して出来ないのである。もっともヒュウム1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]も、ウォレイス2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]も、これらの物理的原因を大いに重要視しているけれども。
[#ここから2字下げ]
1)[#「1)」は縦中横] Essay xi. p. 425.
2)[#「2)」は縦中横] Dissertation, p. 80.
[#ここで字下げ終わり]
彼らは、その提示せる道徳的原因においても、同様の誤謬に陥っている。ウォレイスは古代人の間における積極的結婚奨励をもって、古代世界の人口がより[#「より」に傍点]多かった主たる原因の一としている1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。しかし結婚を奨励する積極的法律が必要であるという事実は、人口が豊富であることよりむしろ人口の不足を表示するものである。そして、彼が特に言及しているスパルタの場合においては、前章で述べたアリストテレエスの章句から見れば、結婚を奨励する法律は著しい人民の不足を是正せんとする明白な目的をもって制定されたものであることがわかる。密集した過剰な人口を有つ国においては、立法者は、結婚と子供の増殖を奨励するために、明白な法律を制定しようとは、決して考えないであろう。ウォレイスの他の議論も、これを検討してみれば、これとほとんど同様に彼れの目的にとり役に立たぬことがわかるであろう。
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1)[#「1)」は縦中横] Dis
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