2字下げ]
1)[#「1)」は縦中横] Id. c. viii. p. 312.
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しかし、俗人の間ですら、人口増殖の仕事ははなはだ冷淡にしか行われていない。一家族のすべての兄弟は、年齢や数に制限なしに、一人の女子とその運命を結びつけるが、この女子は長兄の選んだものであり、家の主婦と考えられている。そして兄弟の別々の職業の利潤がどれだけであろうと、その結果は共同の財産に流れ込むのである1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。
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1)[#「1)」は縦中横] Id. c. ?. p. 348, 350.
[#ここで字下げ終わり]
夫の数は明かには定められておらず、また何の制限も設けられていない。時には小家族に男が一人しかいない場合もある。そしてその数は、タアナアの云うところによれば、テシュウ・ルウムブウの身分のある一人の土人が、当時五人の兄弟が一人の女と同一の結婚をして、極めて幸福に共棲していることを指摘したが、この数を越すことは滅多にないであろう。この種の共棲関係は下層階級にのみ限られているものではなく、しばしば最も富める家庭にも見られるところである1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。
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1)[#「1)」は縦中横] Id. c. x. p. 349.
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かかる習慣は、かくも多数の僧侶の独身生活と相俟って、最も有力に人口に対する予防的妨げとして作用しなければならぬことは明かである。しかし、この過度の妨げにもかかわらず、土壌の自然的不毛に関するタアナア氏の記述から見るに、人口は生前資料の水準にまで圧迫されていることがわかるであろう。そしてこれはテシュウ・ルウムブウにおける乞食の数によって確証されるように思われる。これらの乞食や彼らを養う慈善に関するタアナア氏の記述は、月並なものではあるが、しかも極めて正常かつ重要なものであり、従って何度反復しても過ぎることのないものである。
彼は曰く、『かくて私は意外にも、私が絶えず平穏な規則的な世の動きを見て来たところに、私が考えてみたこともない貧窮と怠惰の大衆を発見した。しかし、無差別な慈善の存在する場合には常にその恩恵の対象物に事欠くことはなく、与うべき施物以上に多数の希望者を常に寄せ集めるものなることに考え至った時、私はこれに少しも驚かなかった。テシュウ・ルウムブウでは人間は誰も欠乏に悩むことは出来ない。おそらく世界中で最も大きな最も逞ましい体躯をもつムッスルマン族の大衆ですらが、哀れな生活を辛うじて維持するだけのものに頼っているのは、人間のこの性向に基づくものである。そしてこの外になお、私は三百人を下らない印度人、ゴザイン族、及びサンニアス族が、毎日この場所で、ラマの恩恵で養われる、と聞いたのである1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。』
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1)[#「1)」は縦中横] Id. c. ix. p. 330.
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第十二章 支那及び日本における人口に対する妨げについて
支那の人口に関して最近与えられている記述は極めて驚くべきものがあり、ために多くの読者の信念を驚かし、そして彼らをして、言葉を知らぬためにある偶然の誤謬が計算の中に潜入したに違いないか、またはサア・ジョオジ・スタウントンに情報を与えた宦官が、お国自慢に誘われて(これはどこにもあることだが、しかし支那では特に甚だしい)、彼れの国の力と資源とを誇張するに至ったのに違いないと想像せしめるものがある。この二つはいずれも非常に有り得ないことでないことを認めなければならない。同時にまた、サア・ジョオジ・スタウントンが述べていることは、十分信ずるに足る他の記述と、本質的に違ってはおらず、そして少しでも矛盾を含んでいるどころか、この国を訪れたすべての著述者が一致している支那の肥沃度のことを振返ってみるならば、いかにも本当らしいことが、わかるであろう。
デュアルドによれば、康※[#「にすい+熈」、第3水準1−14−55]帝の治世の始めに行われた戸口調では、戸数は一一、〇五二、八七二戸、兵役可能の男子は五九、七八八、三六四であることがわかった。しかも皇族や宮廷の官吏や宦官や兵役済の兵士や進士や挙士や博士や僧侶や二十歳以下の青年や、また海上生活者や河で小舟に生活する多数の者は、この数字の中に含まれていないのである1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。
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1)[#「1)」は縦中横] Duhalde's Hist. of China, 2 vols. folio, 1738, vol. i. p. 244.
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