に煽動されて、これら諸民族のいずれかが全滅に瀕するほどの敵意をもって、行われているのである1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。
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 1)[#「1)」は縦中横] Geneal. Hist. Tart. vol. ii. p. 545.
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 アラビア及びシリアのベドウィーン族は、大韃靼の住民よりも安穏には生活していない。牧畜状態の性質そのものが戦争に対する不断の機会を与えるように思われる。ある時期に一種族が用いる牧場はその所有地の一小部分でしかない。一年の間に広大なる領土が相次いで占有される。そしてこの全体はその種族の年々の生活資料を得るために絶対に必要なのであり、そして所領と考えられているから、それをちょっとでも侵害すれば、たとえ種族が非常な遠隔地にいても、正当な戦争理由であると主張される1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。同盟と近親関係とがこれらの戦争をより[#「より」に傍点]一般的ならしめる。流血を見れば、それを贖うには、より[#「より」に傍点]多くの血をもってしなければならぬ。そして年を経るにつれてかかる事件は増加したので、種族の大部分は互に争っており、永久的敵対状態に暮している2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]。マホメット以前の時代に、千七百囘の戦闘が伝説に記録されている。そして、宗教的に守られた二ヵ月の部分的休戦は、ギボンが正しくも述べている所によれば、彼らの無政府及び戦争の一般的習慣を更にいっそう明かにするものと考えらるべきであろう3)[#「3)」は縦中横、行右小書き]。
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 1)[#「1)」は縦中横]『吾々の場合に市民が遺産を争うのと同様に、彼らは互に未耕地を争うであろう。かくて彼らの家禽の飼料などに関し頻々たる戦争の機会を見出すであろう。………彼らは民法によって解決すべき事件が少なければ少ないほど国際法によって判決すべき事件が多いであろう。』Montes. Esprit des Loix, l. xviii. c. xii.
 2)[#「2)」は縦中横] Voy. de Volney, tom. i. c. xxii. p. 361, 362, 363.
 3)[#「3)」は縦中横] Gibbon, vol. ix. c. 1. p. 238, 239.
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