Aこのカルマック族はその頃には大ブカリアの辺境地方及びその国の南部地方の掃討に出掛ける。他方において、韃靼人は絶えずヤイクのコサック族及びノガイ韃靼人を悩ましている。夏には彼らはイーグル山脈を超えてシベリアに侵入する。そして彼らはしばしばこれらの侵略では運が悪く、その掠奪物の全部は彼らが極めてわずかの労働で彼らの土地から手に入れることが出来るものにも及ばないけれども、しかも彼らは真面目に農業に従事するよりも、かかる生活に必然的に伴う幾多の困憊と危険とに自ら好んで身を曝すのである1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。
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 1)[#「1)」は縦中横] Geneal. Hist. Tart. vol. ii. p. 573 et seq.
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 他の囘教韃靼人の生活方法もこれと同じことであり、これを繰返すのは煩しいから、従って読者は『韃靼系譜史』とその有益な註を参照せられたい。この歴史の著者はチォワラスムのチャンであるが、彼自身の行為が、これらの国で行われる政策上の、復讐または掠奪のための、戦争の、蒙昧なやり方に関し、面白い例を示している。彼は一再ならず大ブカリアを侵略した。そしてその遠征のいずれも、国土を蹂躪し、町村を亡ぼし破壊したのを特色とした。彼れの俘虜のある者が彼れの行動を妨げるような場合には、彼はこれを即座に殺すのを躊躇しなかった。彼に対する朝貢族たるトルコマン族の力を減らそうとして、彼はあらゆる主立った人物を厳粛な饗宴に招き、それを二千名も虐殺させた。彼は少しも容赦なく残酷に、トルコマン族の村を焼き払い破壊し、そしてその結果が自分に戻って来て戦勝者の軍隊が食物の不足で甚だしく悩んだほどの破壊をあえてしたのである1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。
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 1)[#「1)」は縦中横] Geneal. Hist. Tart. vol. i. ch. xii.
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 囘教韃靼人は一般に商業を嫌い、彼らの手中に入るすべての商人を害することをその職業としている1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。黙認する唯一の商業は奴隷売買である。これは彼らが掠奪的侵略で持ち去る分捕品の主たる部分を成すものであり、彼らの富の主たる源泉と考えられている。彼らがその家畜の世話をさせるかまたは妻妾にす
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