≠窒刀C vol. ii. sec. i. 8vo. 1730.
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 ヴォルネエは、シリアのベドウィーン族を論ずるに当って、かかる必然的分布を次の如く正しく説明している。『不毛の州、換言すれば植物の少い州では、種族は、スエズの沙漠、紅海の沙漠、及び大沙漠地方の奥地の如くに、弱体であり非常に離れている。ダマスカスとユウフラテス河との間の如くに、土地に生物がもっと生えている場合には、種族はもっと強くまた相互の距離も近い。アレッポのパチャリック、ハウラン、及びガザ地方の如き、耕作可能の州では、聚落《しゅうらく》は多くかつ互に接近している1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。』かくの如く、その実際の勤労と習慣との状態において獲得し得る食物の分量に従って人口が分布するということは、シリアやアラビアと同じく大韃靼にも適用し得るし、文明諸国民の商業がこれをより[#「より」に傍点]低級な社会段階ほど目立つことを妨げるとはいえ、事実上地球全体に等しく適用することが出来るのである。
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 1)[#「1)」は縦中横] Voy. de Volney, tom. i. ch. xxii. p. 351. 8vo. 1787.
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 大韃靼の西部地方に住む囘教韃靼人は、その土地の若干を耕作するが、しかしそれは極めて粗放で不十分であって、到底生活資料の主源泉をこれに仰ぐには足りない1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。野蛮人の怠惰な好戦的な気質は、到る処に拡がっており、彼らは掠奪によって得る望のあるものを労働によって得ようという気には容易にならない。韃靼の年代記に目立った戦争や叛乱が何もない時には、その国内の平和と勤労とが、掠奪を目的とする小競合や相互の侵入で絶えず妨げられているのである。囘教韃靼人は、平時にも戦時にも、ほとんど全くその隣人を掠奪しこれを餌食にすることによって、暮していると云われている2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]。
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 1)[#「1)」は縦中横] Geneal. Hist. Tart. vol. ii. p. 382.
 2)[#「2)」は縦中横] Id. p. 390.
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 チォワラスム王国を支配者として所有するウズベック族は、その貢納者たるサルト族及び
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