増加[#「増加」に傍点]は生活資料の増加の範囲に限られてしまうこととなる。この関係はしかし人類のみに限られたことではなく、一切の生物界に見られるところである。そしてこの不等の二つの力の結果が平等ならしめられざるを得ないことの結果として、動植物界においては種子の濫費や疾病や早死が起り、人類においては窮乏及び罪悪が生ずる。すなわち窮乏及び罪悪は人口に対する『妨げ』であり、これあるによって人口は生活資料と均衡を維持し得るのである1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。
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 1)[#「1)」は縦中横] Malthus, Essay on Population, 1st ed., ch. I.
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 しからば、フランス革命が暗示すると考えられている社会の一般的永続的改善は、この事実によって完全に否定されなければならない。ゴドウィンの想像するような社会はこれあるによって初めから不可能なのであるが、今仮りにこれが成立したとしても、一方においては家族を支持する上での危惧が全く消滅するために人口増加は著しくなり、他方においては自利の発条が除かれるので、生活資
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