Nル・トマス・サドラア、トマス・ダブルデイ、ヘンリ・チャアルズ・ケアリ、ハアバアト・スペンサア、及び一連の唯物論的弁証法論者を挙げることが出来るであろう1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。
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 1)[#「1)」は縦中横] Michael Thomas Sadler ; The Law of Population : etc. London 1830.
Thomas Doubleday ; The true Law of Population etc. London 1841.
Henry Charles Carey ; Principles of Social Science. Philadelphia 1858−1859.
Herbert Spencer ; A System of Synthetic Philosophy. Vol. III. : The Principles of Biology. Vol. II. N. Y. 1884.
Friedrich Engels ; Dialektik und Natur, Marx−Engels Archiv, II.
Karl Kautsky ; Vermehrung und Entwicklung in Natur und Gesellschaft. K. III. Do. ; 〔Malthusianismus und Sozialismus, I. Das abstrakte Bevo:lkerungsgesetz, Neue Zeit, 29 Jhrg., I. Do. ; Materialistische Geschichtsauffassung, I. Bd.〕
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 次にその第二の点、すなわち自然法則の社会への直訳的適用について云えば、これまたマルサスの致命的誤謬の一つをなすものである。云うまでもなく社会もまた自然である。しかしながら、社会は社会たる限りにおいて、それ自身自然ではないから、同時に自然との対立物であり、従って自然界とは相容れぬ特殊の歴史的法則の支配するところとなっている。しかもこの社会は、その経済の発展程度に応じて、当該時に特殊なる生産方法の上に立つのであり、従ってその各々における歴史的法則は、形式的規定として以外には共通性を有たぬものである。たとえば封建社会に特殊なる歴史的法則は、資本制社会とは何らの関係をも有ち得ない、等。かくて資本制社会における労働者階級の労賃現象の説明は、これを超越的な自然法則に求むべきではなく、または社会一般に通ずる形式的法則に求むべきでもなく、実に資本制社会に特有な資本の法則の中に求めらるべきものである。
 かかる線に沿ってのマルサス批判は、まずジョン・ウェイランド、アーチボオルド・アリスン、ジョオジ・エンサア、シモンド・ド・シスモンディ等を通って発展して来たのであるが、それは終に総括的最終的にカアル・マルクスによってその完成点に達したのである1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。
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 1)[#「1)」は縦中横] John Weyland ; The Principles of Population and Production, etc. London 1816.
Archibald Alison ; The Principles of Population, etc. Edinburgh & London 1840.
George Ensor ; An Inquiry concerning the Population of Nations : etc. London 1818.
Simonde de Sismondi ; Nouveaux Principes d'Economie Politique, etc. 1819.
〔Karl Marx ; Das Kapital. I. Bd. Do. ; Zur Kritik der Politischen O:konomie, Vorwort.〕
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 否定的批判はかくの如くして発展し完成したのであるが、しかしながらこのことは、社会的存在物としてのマルサス人口論が克服されたことを意味するものでは決してない。それが色食二欲という極めて常識的な根拠に立つ限り、大衆の無批判的受容を得ることは極めて容易であり、しかもそれが新装の労賃基金説の形をとる限り、資本制社会の存続する間は、社会的には決して克服せられ得ない、と云わなければならぬ。
 かくて今日マルサス『人口論』を研究することは、なかんずくその各版に現れた思想の変化を辿ることは、それが一つの階
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