m#ここから2字下げ、折り返して3字下げ]
 1)[#「1)」は縦中横] James Mill ; Elements of Political Economy. London 1821.
Nassau William Senior ; Two Lectures on Populations, etc. London 1829.
John Ramsay McCulloch ; The Principles of Political Economy : etc. Edinburgh 1825. Do. ; A Treatise on the Circumstances which determine the Rate of Wages and the Condition of the labouring Classes, etc. London (2nd ed.) 1854.
J. S. Mill ; Principles of Political Economy etc. 1848.
[#ここで字下げ終わり]
 マルサス説の第二期においては、主題は当然に労働者階級の労賃である。すなわち労賃基金説においては、総労賃は労働者に分たるべきところの生産された既与の食物量なのであり、これが労働者に分たれて労賃となる、というのである。これを有名な用語をもってすれば、分子は総労賃=食物量であり、分母は労働者数であり、商は労賃である。従って労賃基金説によれば、重大な結論が随伴することとなる。分子は既に生産された既与のものであるから、商すなわち労賃を大ならしめるためには、分母すなわち労働者数を減少する以外にない、ということになる。換言すれば、労働者数の減少を企てずして労賃の引上を行えば、その結果は失業の増加となって現れざるを得ない。かくて労賃の引上を目的とする労働運動は労働者階級全体にとっては自殺的行為となることとなる。――労賃基金説はかくて有力な反労働運動論、反社会主義論となった。
 労賃基金説はジョン・ミルによって理論的に完成され、同時に彼によって抛棄された。すなわち彼は、フランシス・ロンジ及びウィリアム・トマス・ソオントンの批判を受けて、この説を淡白に抛棄した1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。しかし、この説は、経済学史上抛棄されたこの日から、大衆の中へ下向して俗流化し、反社
前へ 次へ
全47ページ中25ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
マルサス トマス・ロバート の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング