自分の仕事に自信を持つこと

 先年店員の中に、仕着せの縞物《しまもの》を嫌い、絣《かすり》を自弁でつくったり、あるいは店服のルバシカを脱いで詰襟を借着して学生風を装うものなどがあって、私どもは大いにその不見識を戒め、そんな心がけでは何をしても成功おぼつかないと懇々説き聞かせたことでしたが、こういうことをするのは自分の選んだ職業を恥ずるものと認めなければならない。いやな仕事ならば断然止めて好む道に進むがよいのです。人身の売買など正しからぬことを業とするならばともかく、いやしくも商売に上下貴賤の差別はない。私は自分の仕事を神聖なものとして尊重し、一生をこれに打ち込んで恥じません。

    あくまで独創的に

 私たちは人々から折々妙な質問を受けます。それは『どういう方法で今日の繁栄をかち得たか』『商売のこつを教えてくれ』などと言われるのですが、いつも返答に窮し、あまりに世間の人の心持のちがいを知らされて、何ともいえぬ淋しさを感じます。
 私たちは最初からどうすれば繁昌するかなどと考えて商売に着手したのではない。もし私たちが商家に生れて、いわゆる商法に通じて家業を継承したのならば、
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