である。それゆえ各自には一週間僅か四時間だけの授業をするのみである。それくらいなら体にも仕事にも差支えなくて、かえってそこに面白味も出るだろう。この僅かの時間の勉強でもこれを長年続けるならば、人生に必要なる知識を得る不足はないと信じている。自分が先年欧州に行った時、識者の間でだいぶ問題になっているデンマークの国を訪ねて見た。この国は諸君も地理で知っていることであろうが、じつに小さい国で、我が九州にも及ばぬくらいの大きさである。さように小さく甚だ貧弱で気の毒な国であった。ところがそこにグルンドウィヒという偉い教育家が生れ、デンマークをいつまでもこういう憐れな国にしていてはならない、何とかしなければならぬというところから、この人の発案で、国民高等学校というのを拵《こしら》え、農家の子弟や商店の徒弟を冬の暇な時に集めて、少しばかりの学問を授ける。それも農家の子弟に農業のことを教えるのでなく、商店の者に商売のことを教えるのでもない。そういう職業には直接関係のない、国の歴史とか宗教とか、主として人間を高尚にする学問を教える。まあ大学の初歩のようなものである。
その学校の成績が非常に宜しかったの
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