なり、すなわち八厘方格安となった。それだけ得意に対し勉強し得ることとなったのである。

    店の格を守る

 私は経済の点をしばらく離れて、店の「格」というものを考えて見る。人に人格のある如く、店にもいつとなくその店の「店格」というものが出来ている。この店格なるものについては、別に根本的に言って見るつもりであるが、とにかくここではその店の持前持味とでも解釈しようか、一つの商売を大切に護って相当年数を経て来た店というものは、長い間にその店独特の気分をつくり出しているものである。
 店の格などというと、階級的な意味に聞えるかも知れぬが、私が言うのはそれではなく、繩のれんには繩のれんの味があり、名物店には名物店の趣きがあり、扱うところの製品を主として店主の気風も自ずからそこに現れ、長年愛顧のお得意の趣味好尚に一致する何物かが、その根底に血脈をなしていることは争われぬのである。すなわちその店特有の空気というか色というか、それはどこがどうと言いようのないものではあるが、天井にも柱にも看板にも、あるいは明りの具合一つにも、きわめて自然に感じられる一種の馴染《なじみ》深さである。
 私はこの、古
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