は些少の金利を目あてに支払いを延期するなど、これを称して商売のかけ引の上手のように教える人がありますが、これはとんでもない誤りであります。
 問屋荷主に不安や不快を与えるほど仕入の上に不得策はありません。またこの小策を要する商人は、決して大成するものではありません。

    正札附の人物たれ

 一個の商品に二様の価なく、いっさいの顧客に平等の待遇[#「待遇」は底本では「体遇」]を致すのが商道の極意であります。これが正札の原則で、目前の小利に眩惑して価を上下し、貴賤によって礼遇を差別するが如きは商売の堕落であって真の商人たる価値なき者であります。商品に良品廉価の確信があって初めて真実の価があり、真実の定価があってここに正札がある。品質に疑あるか価値において他の優越を恐るる如きことあれば、正札は真の正札ではない。終いにはその価を二三にせざるを得なくなる。
 ゆえに商人として其の誠実に忠ならんとするならば必ず商品は正札をしてすこしも上下してはならない。正札を守らんがためには最も合理化せる経営をしなくてはならない。
 而してこれらのすべてを完成せしむるには、まず自分として表裏反覆なき正札付
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