るものには、その店主の脳味噌の程が思いやられて、足を向ける気がしない。
百貨店では広告の文句、宣伝の方法を真剣に研究している。小商店では出たとこ勝負のやっていけ[#「やっていけ」に傍点]で、甚しいのになると、他店の文句をそのまま真似たのさえある。滑稽きわまる話で、何のための広告か真意の程を理解するのに苦しむ。その店には必ず独自の特色、個性があるべきで、他店にない特色、個性があってこそ初めてその店は生きてくる。
客が足を向けることを誇りとする店、かかる店であれば、不景気など素通りしてしまう。「あの店でチンドン屋を雇ったから俺の店も雇おう」ではいけない。
そこで各店が連合して、一店一種ないし二種の犠牲奉仕品を出すには、広告チラシも共同の物を作る。そうすれば費用も少額で足りる。文句も「お安く致します」だけでなく、何印の何品は何程と書き、百貨店の売価と対照した表を作って、一目で百貨店より二銭なり三銭なり安いことを知らしめるようにする。
要するに大多数の小売店が、百貨店の進出によって、不利なる立場に追い詰められつつあるのは、産業界経済界の不況にも因る事だが、研究心の不足が大なる原因である
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