の量において相匹敵することは出来ない。
 しかしながら考えてみると、エレベーターを動かし、大演芸館を持ち、遊園を設備して、多大の資金と経費を投じているこのデパートの費用は、みな売上の利潤から支払わなければならない。
 我々小売商は、こうした資金経営を要さない。こうした多大の金を費わないところに、小売商がデパートと闘う強味がある。
 小売商人はこのデパートの要すべき多大の失費を、そのまま物価の上より引き去って、それだけデパートの売価以下に、廉価にしなければならない。
 小売商の中には「この品はデパートでは五十銭だのにあなたの所のは五十五銭で高い」と、お客にいわれ「デパートなみに安くはいきません」などという店もあるが、それはもってのほかというべきだ。
 常にデパートより安く、同価なれば優等品をと心がけて、その建築の外形においては及ばないがその実質において競争すべく、身構えるべきである。

    日本商船はどうして客をとる?

 次に客に対するサービスであるが、デパートは何百何千のショップ・ガールを抱えて、御客に応対せしむるに、その各々が満足な商品の知識を持たせることが出来ない。ただ定価通
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