である。
 例えば、乳離れの子供に胃腸を損じない栄養分の豊富なお菓子を作るといった試みとか、現代のような空の時代に航空士や乗客の疲労回復を目的とするお菓子を作って見るとか、カルシウムやヴィタミンBをお菓子に含有させて、骨格を丈夫にしたり脚気の予防に役立てる等々の試みは時代に適した行き方で、こういうところへ目をつけることは常に研究して行く気持がなければ、出来ることではない。常に研究していれば、他より一歩先んじることが出来ると思う。
 明治や森永なども皆試験部とか研究室を持っているが、中村屋としても、そうゆう意味で、研究室を設けて、材料の吟味、出来上がったお菓子の検査、新しい製品の企画、研究をやっている。そして、これがどれだけ中村屋の今日を築いているか分らないと、私は熟々考えることがある。
 犬に食わせる犬ビスケットにしても、従来は英国やドイツから輸入していた。一斤六十五銭もしていたものを、ヒョットした機会から自分のところで作って見ようという気になり、いろいろ分析研究して結局今では二十五銭で売れるところまで漕ぎついた。しかも犬は六十五銭の外国品より喜んで食うのだから愉快だ。これなどは畢竟《
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