を節約するには一銭不足の郵便を出せば不足税とも二銭で八銭の利あり、また一週間を七つに割って、その中の一日あるいは二日を銭なしデーとなし、この日には必要あるとも絶対に一銭の支出もしてはならない。すべてこの調子で貯金だの宣伝をしたものであったが、なるほどこれなら貯金は出来るであろうが、人間味はどこにあるか、全く守銭奴となって、世にも人にもつまはじきされ、生き甲斐なく淋しい一生を送らねばなるまい。
 分相応を第一とするとともに、栄枯盛衰はあざなえる繩の如し、時に貧しくとも驚かず、貧乏負けせぬが必要だとともに、富貴に処して得意がらず、余裕をもって善事に奉仕すべきであります。ここにおいてさらに云わねばならぬのは、およそ人として順境に生きることの難しさである。金が出来たので衆望もないものが、議員候補に乗出したり、あるいは妾等を蓄えて家庭に風波を起すもあり、また善事に奉仕するというても、故郷を離れて神社仏閣に寄付の高を誇りにしたり、与うべからざる者に金を与えたりして、かえって虚栄に陥りまた人を毒する結果となるものが、世にまことに多いのである。明治の中頃、小石川目白台に、アウンバラバなる一僧侶があった
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