次に店の業務を習熟するように教育せねばならぬ。
一、分限を越えてはならぬ。仏神を敬うのはよいが、これに凝って家業を怠り、寺などに多額の寄進をすることは慎しまねばならぬ。信仰は精神の問題であって、いたずらに物質的寄進をすることは別問題である(等々)
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見るところこれは如何にも三井家始祖の遺訓らしくその慎みと誠実さ、またしっかりと大地に根を据えたような信念に頭の下るのをおぼえるが、よくこれを奉じて間違わなかった三井家代々の偉さも同時に思われるのであります。今は時代も難しくなり、当然二代目の悩みも深いわけで、親子ともになおさら戒心を要する次第であります。
職長学七ヶ条
私はせんだってある所で「主人学」という話をしました。その続きというわけでもないが、今は諸君に、主人学のお隣りの「職長学の修業」について話したいと思う。いま中村屋には職長級の人が十四五人いるが、いま年少な君達も、やがて職長となり、技師長となり、販売主任となるべきであって、職長学の修業は、常に心がけて、だんだん自分をその器につくり上げて行かなくてはならない。
まず職長として第一に心得ねばな
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