た米、味噌、野菜物を充分使っていた癖がついて、どしどし仕入れる。そして月末の勘定を払う時初めて費用の案外多くかかったのに驚くという有様である。また下宿屋となって人を置く上は、二三人でも数十人でも手のかかることは同じである。少人数だからとて点火すべき所に燈火をおかないわけにはいかない。鉄瓶の湯を切らしてはおけない。仕入をするにも多人数おけば自然出入りの商人に卸値で勉強させるけれども、小下宿屋は割合にこの仕入が高くなる。その上客に倒されることもあり、また部屋もいつもあき間の一つや二つはあることを覚悟しなければならない。これを一々計算して見れば、なかなか儲かるものではない。しからば数十人を容るべき設備の大下宿屋は必ず儲かるかといえばこれまた仕掛の仰山なだけ費用がかかって、さほどうまく儲かるものではない。建築物その他が財産であるから、自分の家屋でしかも資本も裕かなれば、大仕掛の下宿屋は小規模の下宿屋に比して利益が多い。一二の空間があっても幾十の間に数十人の客を満たしておけば、僅か三四間の備えしかない小下宿屋よりもその影響を蒙ることが少ない。その他火、油、手間等大仕掛な割合にはかからない。またこ
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