らいがその場所には最も多く客を引く程度である。
さらに、仕入の事について一言すれば、仕入の種類及び程度を鑑別することは最もむずかしい。仕入が寂しくては客を引き顧客を広むることは出来ず、またやたらに品が多くては廃物が出来る。呉服物ではその季に売り損えば、翌年はもはや流行後れとなって、廃物となる品が多い。菓子や果物類は一週間売れなければ廃物となる。廃物がどしどし出来ては商売は成り立たぬわけである。店を大きくする以上は、多少の廃物は免れまいが、それをなるべく少なくするには、常に流行の趨勢を察し、嗜好の移り変りを吟味して、絶えず客の嗜好性を導くように心得て仕入なくてはならぬ。この加減が飲み込まれるには多年の経験を積んで、よくその土地の事情に明るくなくては出来にくい。これが田舎出の人には最も難物である。
七、店員の使用法を心得ず
最後に小僧の使用法について一言すれば、商家のほとんどすべてが小僧店員の欠乏を感じて居るが、これは畢竟[#「畢竟」は底本では「畢境」]主人が小僧店員の虐待にほかならぬ。世間はすでに立憲政治の行われているに、家の中はなお封建制度を墨守しているものが多い。主人
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