劣りせぬだけの装飾仕入が出来て、二三年間は維持し得る資本がなくてはならぬ。だから中心地で始むるか、小中心で始むるか、また場末で開店するかということは、いっさい資本の問題である。もし少ない資本のものならば、将来有望と思われる場末の地で、その隣家に立ち勝った店を開くが上策である。しかればその地での第一流の繁昌店たることが出来る。資本に不相当なる場所に高い家賃を払って、みすぼらしい店を開いているようでは、とうてい繁昌の見込みが立たぬ。

    三、地方と都会との差別を知らざるにあり

 商売の性質と場所とを知ることが大切である。すなわちその地には如何なる種類の人が多く集っているか、また如何なる商品が最も適当であるかについて、十分に踏査し、鑑定をつけることを誤まってはならぬ。概して地方相手の卸業ならば日本橋がよろしいし、新奇な舶来品ハイカラ好みの商品ならば、京橋就中銀座辺また本郷神田の賑った通りに開店すべし、本所深川ならば職工向きの商売が適しているし、牛込本郷の一般では学生を相手の中心とすべきである。概して言えば同業者の多い所を見定めて開店するのがよろしい。それは田舎では同業者のない飛び抜け
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