人が恥かしいと云って、自国の服装を卑下するのは大変な心得違いだと思います。
これはちょっと人様の悪口を云うようですが、以前井上という代議士の主催で、南洋貿易視察のために、オランダ領の南洋に行く団体を募集したことがありました。その時、私も妻も共に参加申込みましたのですが、「オランダ領地へ行くのだから洋服にしてくれ」との事だったので「外国から日本に商業視察に来る人は、皆日本服を着て来ますか」ときいてみたところ「そんな理屈は云わないで洋服にして下さい」とのことでありましたので、私どもはついに参加を断りました。家内などは西洋人にくらべると体は小さいし恰好は悪い、日本の絹の着物でも着ていったらどうやら西洋人にひけ[#「ひけ」に傍点]もとらないと思いますが、不恰好な洋服を着て、慣れない靴をはいて、ヨチヨチ歩いたらそれこそ国辱になるじゃないか、と考えたからでありました。代議士ほどの方でもこんな間違った考えを持って居られる方のあるのを残念に思いました。
とにかく、ただ見物に行くとか、招待された時などは日本服が好都合で、履物はコルク裏の草履を用いましたが、半靴を用いてもよいかと思います。
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