一軒の家を一人で使っている人はほとんどない。巴里で日本の宮様が借りていらしたという家にも行って見ましたが、ただ一階だけを借りて居られたので、二階三階にはどんな人が住んで居るかわからない。
 宮様でさえかくの如き有様ですゆえ、たいがいのところは一軒の家に何十人何百人という人が住んで居ります。

    日本家屋の長所

 このように外から見ると立派な外国の建物も、種々な不快さがありまして、日本のように一軒の家は一人の所有で、他人の干渉を許さずと、云うような気持の善い所がありません。
 日本家屋は見てくれこそ悪いが、住み心地からいうと必ずしも西洋の方がいいとは言えません。外観だけ見て西洋を買いかぶることは、甚だ早計です。これは単に家屋のことばかりじゃないということは申し上げるまでもありません。

    立派な喫茶店――内幕は苦しい

 次に喫茶店、すなわちカフェーのこと。本場だけに彼方には立派な喫茶店が沢山ありました。ロンドンでは間口二十七間、奥行二十五間、五階建という大喫茶店がある。一度に二千人、三千人のお客がはいる、そして立派な音楽家が各階に三人、五人、多いところでは二十人も居て音楽
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