にわたりますゆえ、話題を転じ二三の所感を話しましょう。
宮様でさえ貸間に御住居
欧州から帰った人々の口から次のような言葉をお聞きになったことと思います。
実に巴里の街は美しく、建築は立派だ。
ベルリンの街は家並が揃って雅趣がある。
日本の家は高いのがあったり低いのがあったりして見苦しい。
そんなことを前々から聞いて居りました私は、自然とそれらの事にも注意して街々を見て廻わりました。なるほどベルリンの街は五階より低い家は造ることを許されない。またそれより高い家を造ることも許されないので全部が五階建でした。ロンドンはあまり面倒な制限がないので四階もあれば七八階もあり相当立派でした。パリは高さに制限はないが外観に重きをおいた規則があるので、外観は羨ましいような気がしました。が、さて、内部にはいって見るといずれの都会も大して羨ましい事もなく、むしろ私はこんなところに住む気にはなれなかった。
もちろん外観は立派ですが、この堂々たる建築物も、下では商人が店を開いて居り、二階はホテル、三階は事務室、四五階には腰弁階級の人々が住って居るといった具合で、五十人百人の人々が住居し、
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