はないのであります。
 私がロンドンの某百貨店支配人に会った時、ついうっかりして「商品切手の御発売高は」ときいたので、この人は不思議そうな顔をして、「商品券とは何ですか」とあべこべ[#「あべこべ」に傍点]に質問されました[#「質問されました」は底本では「質問されした」]。まよって日本では商品切手なるものが非常に流行していると説明したところ「商品切手? 紙幣じゃありませんか。そんなものを贈り物にしたら貰った人が怒るでしょう」と云われたのには赤面しました。
 西洋では紙幣と同様に見られて居る商品切手などを贈り物にすると、一種の賄賂と認められます。それで百貨店も発行せず、また法律も、紙幣類似としてその発行を許可していないのであります。
 私はかつて百貨店の発行する商品切手に対抗する一手段として、東京一流商店連合商品切手を発行する事を計画したところ、このことが早くも都下の新聞に書かれた結果、所轄警察署や警視庁あたりから急に刑事が来られ「そんな商品切手は内務省で許可しない故計画を中止しろ」と、まだ願書も出さず、一流商店の顔合せもしないうちに圧迫を受けて、ついに計画を中止するの止むなきに至ったので
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