い、かえって小さな個人商店等が帳簿の不備のために、実際に欠損があった場合でも、総売上金の一割何分を所得として課税され、意外の重税を負担することになり、ますます百貨店の圧迫を蒙るようになります。
 彼方の百貨店の食堂では十銭十五銭等の安い食べものなどは売っていない。十銭くらいの食物を立派な百貨店で売っては、原料がただでも引合わない、そこで彼方では弁当なども最低一円くらいで、それ以下の安い食物は裏店見たような小さな家賃の安い店で売っているといった次第で、百貨店といえども値段を安くして個人商店を圧迫するような横暴は出来ないのであります。
 ゆえにただ一つところで何でも買えるという便利以外に他の店と競争する特点は百貨店として持っていない訳で、百貨店ひとり栄えることも出来ず、個人商店も圧迫されずに共に繁昌して行くことが出来るのであります。

    商品切手は紙幣類似

 なお、日本百貨店の有する強力な武器として特に偉大な勢力を持って居るのは商品切手であります。西洋ではクリスマスとか近親の誕生日とかだけにのみ贈り物をする習慣であって、日本の如く他人の家を訪問するごとに御進物を持っていくようなこと
前へ 次へ
全330ページ中229ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
相馬 愛蔵 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング