国に寄り道した程度のものであるから、まとまった研究などではありません。

    今までの旅行と違った点

 ただ、私の今回の旅行は、今までの沢山の旅行者と幾分違った点があると思います。
 従来彼方に行かれた人々は、留学生とか、大学教授とか、その他政治家、あるいは大工場主というような立派な方々ばかりで、私のような小さな一商店主が西洋における商業の実際を調べに往ったのは、私が嚆矢《こうし》ではないかと思います。こうして今一つ私が少しく調べて来ましたのは、百貨店の大発展についてであります。この事は近頃、新聞雑誌等でも問題とされて居りますことで、すなわち近年の大不景気に際会して、一般商店は大概一割二割の売上げが減少して居るにかかわらず、ひとり百貨店のみは年々売上高が増加し、前年よりは必ず多くなっていると云う有様で、もしも景気がなおったならば、どのくらい発展するかわからない。彼方に一万坪、此方に五千坪と、隣り近所に大きな百貨店が続出するという有様では、一般小売商店にとっては少なからぬ脅威であります。
 これについて、先進国である欧州においての百貨店の営業振りと、これに対する個人商店の対抗振りと
前へ 次へ
全330ページ中219ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
相馬 愛蔵 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング