に心から感激し己れの非を悔いるとともに、この君ならでは……馬前に死すという忠節を致したのである。ところが信長のように怒髪天を衝いて真正面からその非を荒立てて責めるというやり方では、結局本人の反感を激成するばかりだ。ついには家来のために殺されるというような破目にもなるので、この叱言ということは些細のようだが大切なことである」
「支店を絶対に出さないという主義はどういう理由です」
「中村屋が支店を出さぬということはべつに深い理由はないが、小売商過多の業界へ支店など出来るだけ出さぬ方がお互いのためだと考えている。例えば百貨店などにしても、地方へ支店を出して尨大な建築や近代的設備に莫大な金を投じているが、多くは算盤がとれていまいと思う。多少算盤がとれている支店があったにしても当然本店へ行くべき客を分けて貰っているので、ようやく赤字を免がれているという支店もある。デパート全体にとって支店はあながち有利なものでないと思う、しかもそれがために地方の小売商人などはどれだけ苦しんでいるか分らない。とすれば結局己れを利せず人を苦しめている外何物もない支店政策は、無駄な投資だと思う。我々にしても、いまでも田
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