から、自分はこうしていられるのだという店員に対する感謝の気持ちをもって接している。それも雇人を他人だと考えないで、自分の子供だと考えている。自分の子供だとすると悪いのがあってもすぐやめさせるという訳にも行くまい。何とかしてよくしてやらねばならぬ、それも非常に出来のよいものと悪いものとがあるが、これも本人の天性だから仕方がないが、各々適材適所に振り向けて仕事のやりよいようにせねばならぬ。それに仕事の非常に出来る何でもやれる人間だと得てして悪い方面に陥り易いものだが、主人はこれを一段と高い所から見ていて、少しやりすぎると思う者には注意し、伸び足らぬ者とほどよく按配して全体の調和をよくしてやる。これでなければ小にしては店、大にして国でも円満に発達して行けないと思う。私はお庭の植木屋のする仕事を見て非常に感心しているのだが、植木屋は勢いのよい伸びすぎる木だとドンドン鋏を入れて、伸びの悪い木に太陽の光が当るようにするとか、あるいは植えかえるとかしている。店でも国家でもこの呼吸でやるべきものと思う。ところが今の有様では自由放任で勢いのよい奴は伸びるだけ伸び放題というやり方だから、一二の巨木が天をお
前へ
次へ
全330ページ中208ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
相馬 愛蔵 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング