ぬつもりだ」と、これが私の常に抱いている気持なので、私達の若い時代のことを思い浮べ、青年時代の野心はできる限り満足させてやりたいと思い、せいぜい独立する考えを持つようにと勇気づけて居るので、結局その方が励みもつき、貯金もするし、成績もいいようである。

    退店は拒まない

 またこれもやはり時代のせいであろうか、昔風のいわゆるカケヒキ「損と元値で蔵を建て」式なインチキな販売法は今は流行らない。相当の知識を持った紳士的商売術で、別に奇術を弄さずとも相当のところまで行けるであろう。人間が正直で、手職に常識に販売に経営に私の店の販売台で相当年期をいれれば、その内には商売の原則も判るし、時代に順応してゆくコツも判るし、人格を重んじ、自己の使命を忠実に尽し、ことに人扱いなどということもよい体験が出来るから、長い間にはモノになると教え、実力において相当な時代的商人として世が渡れるように、努めて教育を与えているのである。
 長く勤める店員に対して、恩給を与えてはどうかということも問題ではあるが、これは考えものであると思う。例えばある官庁などのように十年、十五年とだんだん恩給を増す式を、我が店員
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