ところで私が何故この家族手当を支給することにしたかというに、これはずいぶん古くから考えていたことなのです。かつて独逸のビスマルクが、独逸官吏の待遇法を制定する際、本給のほかにその生活安定の手段として、特に家族手当の規定を設けるのに力を入れたということを、学生時代早稲田の講壇で故松崎蔵之助博士から聞き、私もそのビスマルク式に共鳴してぜひ自分も人を使う立場になったら、これをやろうと考えたもので、時至って実行したものです。生活安定は人の互いに力をあわせて実現せねばならない大切なことです。

    利益は分配す

 経営並びに待遇の合理化、そうして幸い商売繁昌した暁に考えなくてはならないのは、利益分配の合理化です。如何によく働くものばかり集ったのでも、そこはやはり利害一致の制度で、余計儲かれば余計分配するようにしなければ、最大の能率はあがりません。それが人情の自然というものです。
 そこで私の店では、その月その月の営業の繁閑並びに収益の多少に準じ、固定本給のほかに配当手当を給与しています。
 さらに私の店は株式組織ですから、年一回一月下旬の決算期には、純益の一部を従業員へ配分していますが、
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