披露などを当てこんでいるので、そのために立派な家を建てて庭にも調度にも金をかけねばならず、雇人も常から余計に雇うことになる。忙しい年末年始に一時に儲けようとするから甚だ高い。単に料理だけ安く提供して四季共に忙しい現代的のレストランやクラブに、とうてい対抗出来るものではない。
 都会地の牛乳屋なども、不合理な経営法の典型だろう。糀町の牛乳屋が車をガラガラ引ぱって浅草あたりまで行って牛乳を配達する。配達に使う労賃を考えると、牛乳一合七、八銭はやむを得ないかも知れぬが、如何にも不合理なやり方である。イギリス[#「イギリス」は底本では「イぎリス」]、ドイツあたりでは、牛乳一合は三銭である。どうして安いかと言うに顧客に、店で売るか、配達をしても店の付近の区内しか配達せぬからである。この点も従来の小売商人の充分考えねばならぬことであろう。
 商いの繁閑を充分研究して、労力の配分を誤まらぬことも極めて大切なことである。私の経営する新宿の中村屋で初めパンのみを売っていた。ところがパンは夏はよく売れるが、冬になるとその半分しか売れぬ。商売が閑になる。そこで冬忙しい餅菓子を始めた。次に西洋菓子を始め、喫茶
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