の研究もせず、何ら改善の途も講ぜず、ただ父祖伝来の旧い方法で経営していたことが、おいてきぼりを食った大きな原因である。
小さい力弱いものが、大きい力強いものに伍して生きんがために如何にせばよいか。我々はこのことをよく考えて見ねばならぬが、私はこの解答を最もよく自然が与えていると思う。自然には獰猛な獅子、虎の如き猛獣がいるのに、弱い兎鼠の類も生存している。鷹鳶、などの猛禽類がいるのに、小さな鳩雀の類が生存している。そしてかえって弱い兎鼠鳩雀の類がどんどん繁殖して強い獅子、鷹の類がそう殖えぬのはどういうわけであろう。
その理由は簡単である。猛獣猛禽の類は強いには強いが、生きるためには莫大な生活資料が要る。いわば生活費がかさむのである。これに反して小禽小獣の類は生活が簡単で、ごく僅かの生活資料で生活し、繁殖して行く、私はこの理を一般小売商人が応用せねばならぬと思う。年五千万円の売上げの大百貨店に対して、年五千円の売上の小売商人も、充分立って行く道はあるのである。百貨店の売上げは莫大であるが、経営費に多額の費用がかかる。およそ売上げの二割四五分は要るだろう。もし小売商人がそれを一割五分で済
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