人であれば格別でありましょうが、我々普通の人間にとっては、数多い店を管理することは、決して策を得たものではないと思います。二兎を追うものは一兎をも得ずの諺の如く沢山の支店を持つ人の例をみましても、多くは不結果に終るようであります。それは多くの支店の中には、必ず赤字のものが出来る、そして好成績の支店の利益を蚕食するか、あるいは本店を傷める結果となって、全体としては結局大したこともないという結論になるのが普通であります。もしまれに相当な成績を挙げ得たものがあったと致しましても、その人がもし一店に全精力を集中したならば、さらにより優秀な結果を収むることが出来ると考えます。ゆえに私は間口を広くして奥行の浅い行き方よりも、間口を狭くして奥行を深くといった方がはるかに安全にしてかつ合理的であると信ずるのであります。また研究して見ますと、たとえ一店だけでも、これで充分だということはなく、奥はますます深く限りないものでありますから、一店だけでは不充分だなどということは、とうてい考え得られないのであります。そしてこの行き方こそ、真に職業に忠実なるものであると堅く信じております。
あるいは御差障りがある
前へ
次へ
全330ページ中130ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
相馬 愛蔵 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング